国営昭和記念公園から始まった30年の歴史と技術の進化

1992年、国営昭和記念公園に日本初の空気膜遊具が登場しました。
今や全国の公園で子供たちに愛される『フワフワドーム』。
その誕生の裏には、エンジニアたちの数え切れない試行錯誤と、安全への情熱がありました。

今回は、フワフワドームの生みの親である開発メンバー(旧・小川テント開発チーム)にインタビュー。
誕生のきっかけから、現在の高い安全基準が作られるまでの「知られざる開発秘話」を語り尽くします。

※フワフワドーム事業は、2017年に開発元である小川テック(旧 小川テント)より大嘉産業株式会社が承継しました。

   (左から産業資材事業部 事業部席 佐藤部長、同環境施設部 浅野課長、生産本部 田中本部長)

1. 誕生のきっかけは「国営昭和記念公園」からの難題

―― フワフワドーム開発のきっかけを教えてください。

浅野:
すべては建設省(現・国土交通省)の国営昭和記念公園工事事務所からの「何か面白い遊具を開発してほしい」という要望から始まりました。
全体設計を担っていた高野ランドスケーププランニングの故・高野文彰先生と、多摩美術大学の故・高橋士郎先生、そして膜構造の技術を持っていた私たち(当時・小川テント)が出会い、プロジェクトが始動しました。

―― 異色のコラボレーションだったのですね。

浅野:
はい。高橋先生は「バボット(風船+ロボット)」のような柔軟な発想をお持ちでした。
一方、私たちは大阪万博や日本初のエアードーム、そして東京ドームの屋根などを手掛け、「空気膜技術」のプロフェッショナルでした。
先生の「膜と空気をイメージした遊具」というコンセプトを、私たちが持つ建築膜の技術で具現化していったのです。

2. 東京ドームの技術を応用した「2重膜構造」の確立

―― 開発は順調でしたか?

佐藤:
いえ、手探りの連続でした。最初は膜材1枚の構造でしたが、耐久性や安全性を高めるために改良を重ね、現在の「内膜と外膜の2層構造」にたどり着きました。
これは、イベント用の仮設エアードームや東京ドームの屋根を支える技術を、子供用の遊具に応用したものです。

―― 素材(膜材)にもこだわりがあるそうですね。

田中:
子供たちがとびはねるわけですから、通常のテント素材では持ちません。
繰り返し疲労試験や摩擦試験、引張試験など、数え切れないほどの実証実験を行いました。
その結果、摩擦に強く、かつ柔軟性のある「フワフワドーム専用膜材」を開発しました。
この時のデータの積み重ねが、現在の製品の「長寿命化」に貢献しています。

          当時の国営昭和記念公園フワフワドーム図面

                 当時使用していた解析ソフト

                   当時使用していた裁断図

3. 失敗を乗り越えて確立した「安全基準」

―― 普及する過程で、苦労された点はありますか?

佐藤:
新しい遊具ゆえに、運用開始後には予期せぬ課題も発生しました。
落雷による送風機の停止や、湿気によるカビの発生などです。
しかし、私たちは現場で起きた問題を一つひとつ解析し、対策を打ち続けました。
今の製品の仕様は、これら「現場の教訓」の集合体です。

―― 今では「安全性」が非常に高く評価されています。

浅野:
開発当初は明確な基準がありませんでしたが、普及に伴い(一社)日本公園施設業協会とともに厳格な安全基準(SP基準)を策定しました。

  • 勾配(傾斜)の制限:子供が転がり落ちない緩やかな角度
  • 安全領域の確保:周囲へのクッション材の敷設
  • 天候への対応:雨天時の利用制限や排水対策

これらをルール化し、毎年厳しい監査を行うことで、管理者の皆様にも安心して導入いただける遊具へと進化しました。

4. 日本から世界へ、そしてインクルーシブな未来へ

―― 今や海外でも見かけるようになりました。

浅野:
韓国、中国、ドバイなどでも採用いただきました。
言葉や文化が違っても、白い山の上で飛び跳ねる子供たちの笑顔は万国共通ですね。

      ドバイフワフワドーム「HAWAHAWA」(大規模な再開発に伴い現在は閉鎖)

―― 今後の展望をお聞かせください。

浅野:
現代の公園には「インクルーシブ(誰もが遊べる)」な視点が求められています。
実は昭和記念公園の設置当初から、車いすの方でも楽しめる工夫を盛り込んでいました。
これからも、年齢や身体能力に関わらず、すべての人が共有し、楽しめるコミュニティ空間を創造していきたいですね。

【編集後記・追悼】
本プロジェクトの礎を築かれた高橋先生(令和3年7月逝去)、高野先生(令和3年8月逝去)に対し、心より敬意と哀悼の意を表します。30年以上にわたり子供たちに夢を与え続けてくださったお二人の想いは、今のフワフワドームにも確かに息づいています。

安全で集客力のある「フワフワドーム」の導入をご検討の方へ
大嘉産業では、新規設置から既存ドームの修繕、人工芝への改修までトータルでサポートいたします。

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大嘉産業株式会社 産業資材事業部 環境施設部

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